そんな話を聞いたことがあるかもしれません。
確定申告は自分で数字を計算して記入するため、言ってしまえばどんな数字でも書くことができます。
とはいえ、そこまでして赤字を狙う人の目的は何なのでしょうか?


個人事業主が赤字で申告することのメリットとは?
ここで言う「赤字」とは、
ということです。
所得が低いと何に有利なの?となりますが、いろいろ有利になります。
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険料
他にもいくつかありますが、主にはこの3つです。
「所得によって支払う金額が変わるもの」は安く抑えられるのです。
これが赤字で申告をするメリットです。
赤字なら所得税はゼロ
わかりやすいメリットはやはり所得税をゼロにすることができる点です。
所得税は、個人事業の一年間の所得に税率をかけて算出します。
0には何をかけても0です。
所得が0以下の状態なら所得税はかかりません。
所得税は確定申告書の書面上で数字がゼロになるのを自分でも確認できますので、節税できた!と実感しやすいですね。
住民税・国民健康保険料は最低限の金額になる
住民税や国民健康保険料なども、所得の大きさによって金額が変わってきます。
(厳密には確定申告の所得とは若干計算が変わる部分がありますが、今回は割愛しています)
所得が0なら住民税や国民健康保険料の負担は最低限のみ。
どうしても最低限の負担はあるので、所得税のように完全にゼロにすることはできません。
住民税や国民健康保険料もゼロにしたらいいのに!
と思ってしまいますが、住んでいる地域の行政サービスや病院を利用するのは所得が多い・少ないとは関係ないですよね。
そのため所得が少ない人でも最低限の負担を求められている、ということではないでしょうか。
個人事業主は赤字でもなり立つの?
一般的な個人事業主は利益の中から生活費を出しているため、基本的には黒字のはずです。
赤字だと利益がないため、事業の中からは生活費が出せていないということになりますね。

赤字でも生活ができる場合
赤字でも生活ができるパターンは、
①貯金を切り崩している
②親などから資金援助を受けている
③売上を抜いたり架空の経費を計上している
この3つです。
もっとも3番目はもちろん違反行為のため、生活ができていると言えないかもしれませんが…。
個人事業で赤字がずっと続くのは不自然?
上で見た3つのパターンを再度確認してみます。
①貯金を切り崩している
②親などから資金援助を受けている
③売上を抜いたり架空の経費を計上している
このパターンのうち、①の「貯金を切り崩している」パターンは短期的にはなんとかなります。
しかし、5年も10年もずっと赤字が続いていると税務署も怪しく思ってきます。
普通の人は貯金にも限りがありますからね…。
貯金がそこまで無いとすると、②「親などから資金援助を受けている」か、③「売上を抜いたり架空の経費を計上している」のどちらかです。
資金援助を受けること自体は問題ではありませんが、あまり金額が大きいと贈与税がかかってくる場合もあるので注意しましょう。
また、売上を抜くなどの悪質な行為が税務調査で判明した場合ですが…。
正しく計算した所得税に加え、罰金として加算税や延滞税なども払わされる可能性があります。
数年遡って追加の税金を納めるようになることもあるので気を付けましょう。
ちなみにですが、高齢の個人事業主は赤字でも事業をずっと続けていることがあります。
この人たちは「生きがい」や「趣味」のような感覚で事業をしているため、赤字や黒字にはそこまで興味は無いようです。
もちろん年金や貯金など、事業以外で生活をするだけの十分な資産があることが前提にはなりますが…こんな申告のパターンもあるんですね。
「わざと」の赤字はかなり危険
「個人事業主が正直に申告していると税金が高すぎて生活できない」
「赤字の人には税務調査は来ないから大丈夫」
なんてことはないです。
正直に申告している人の方が多いですし、赤字の人でも税務調査は来るときは来ます。


もし赤字が何年か続くときがあれば、税務調査のときにきちんと説明できるだけの準備をしておきましょう。
税務署に「わざと赤字にしている」と判断されると、上でも少し触れましたが何年も遡って修正をさせられる可能性もあります。
最終的にどれくらいの黒字にするか・赤字にするかで悩む前に…。
まずは自分の今の経営状況の把握からです。
エクセルで日々の収支を記入していくのもいいですが、できれば会計ソフトを使ってみましょう。
会計ソフトはエクセルより、
「時短・精度高い・申告までできる」
と便利な部分が多いので、効率化のためにも会計ソフトの導入は必須と言えます。
そして自分で確定申告をするのに自信がない方は、お金はかかっても税理士さんにお願いしましょう。
個人事業主が年間の確定申告にかける日数は平均で3日~1週間。
数字が苦手な人はもっと膨大な時間がかかることだってあります…。
その分を仕事や家族、副業にまわした方が、効率がいいケースも多いのです。
>>月額なし・相談料なし!リーズナブルな税理士さんを税理士ドットコムでチェック
もしあなたが「税理士に依頼しよう!」と思ったときは、税理士の忙しい時期を外して相談に行ってみましょう。
早めに動いておけば、段取りよく確定申告に備えることができますよ。
まとめ
いろいろ書いてきましたが、赤字がダメなんじゃなくて、「わざと」の赤字がダメなんです。
確定申告は正直にしましょう。
自分の身は自分で守るしかありませんからね。
どうしても赤字になったときは、次の年にその分を取り返せるようにがんばりましょう!
ではでは。
コメント