青色申告はお得だよ。
10万円控除もいいけど、65万円控除はもっといいよ。
なんてよく聞くけど。
…65万円控除の条件って厳しいんじゃないの?
そうですね、青色申告の10万円控除は届を出せば誰でもとることができます。
しかしその前に、65万円控除の条件の一つ
「複式簿記」
が大きな壁となって立ちはだかります。
…心配御無用。
開業して初めて確定申告をするのに65万円控除にしたい人。
10万円控除で確定申告をしたことはあるけど、そろそろ65万円控除に挑戦したい人。
そんな人に向けて、複式簿記はもちろん65万円控除をとるための条件に付いていろいろまとめてみましたよ!
なお、
10万円の青色申告特別控除
65万円の青色申告特別控除
が正式名称のようですが、この記事の中では
10万円控除
65万円控除
と表記させてくださいね。
…その方が読みやすいし、書きやすいので。

お得なのはいいけど、めんどくさいのはやだよ~

心の声がはっきり聞こえてるよ…。
65万円控除を選ぶための条件
まずは青色申告で65万円控除をとるための条件を再確認です。
大事なところなので、国税庁からそのまま引っ張ってきました笑
No.2072 青色申告特別控除
[平成30年4月1日現在法令等]
青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除があります。
1 65万円の青色申告特別控除
この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。
(1) 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2) これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3) (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
いろいろ書いてありますが、大事なのは赤字のところ。
まとめると↓
ということです。
ちょっと漢字の専門用語が多いですね(汗)
- 不動産所得
- 事業所得
- 複式簿記
- 貸借対照表・損益計算書
それぞれゆっくり見ていきましょう。
不動産所得って?
所得の種類はいろいろありますが。
自分が所有している土地や建物を他人に貸して、賃貸収入を得る。
簡単に言えばその不動産収入から得たもうけが不動産所得です。
不動産所得の人が65万円控除をとるためには、5棟10室という明確な基準があります。
- 戸建ての建物を貸している場合なら5棟以上
- アパート経営なんかで部屋を貸している場合なら10室以上
という条件ですね。
事業所得って?
たぶんこの記事を読んでいる人の多くは事業所得なのかな、と。
不動産所得じゃなくて、山林所得でもない。
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業
なら事業所得ですからね。
えっと自分はこの中の何業になるんだろう…
なんて考えなくても、
不動産からの収入じゃなくて
山林からの収入でもないなら
それは全て事業所得です。
何業か、なんてはっきり分けられない仕事もありますし。
二つ以上の業種にまたがる仕事だってあります。
そんなときでも
とりあえずその仕事は
事業所得です。
複式簿記って?
複式簿記というのは。
たとえば現金で1万円の売上があった場合。
というように処理をします。
この現金や売上のことを勘定科目と言います。
1つの取引に対し、2つの勘定科目を使用する。
これが複式簿記です。
ちなみに単式簿記というのものもあります。
こちらは現金で1万円の売上があった場合
しか扱いません。
売上という勘定科目のみ集計ができればOKなので。
やっぱりこっちの方が簡単ですね。
貸借対照表・損益計算書って?
この二つはですね。
きちんと解説しようとするとかなりのボリュームになります。
なので要点だけを。
損益計算書は読んで字のごとく、損失と収益を示す表です。
どれくらい利益が出たかが分かる表ですね。
貸借対照表は今の財政状態を表す表です。
現預金などの資産はどれくらいあるか
未払金や借入金などの負債はどれくらいあるか
この資産と負債を一覧にした表です。
65万控除をとるためには、損益計算書に加えてこの貸借対照表も作成する義務があるんですね。
ただ、複式簿記をするということは、同時に貸借対照表を作るための材料もほぼ揃います。
…このあたりの作業はやや簿記の知識が必要になってくるところ。
なんですけど、最近の会計ソフトは初心者でも扱いやすく、貸借対照表・損益計算書などをほぼ自動で作成してくれます。
これはうまく活用したいですね。
65万円控除の条件に「金額」はない!
これはちょっと蛇足かもですが。
条件の中に
「売上が○○万円以上」
「所得が××万円以上」
なんて金額面でのラインはありませんよね?
メインの収入が別にあって、という副業ではなく
自分はこの事業を主として生活しているんです
という場合なら売上などの金額は関係なく、65万円控除OKってことです。
なんとなく
まずは10万円控除から始まって、規模が大きくなったら65万円控除にできるのかな…?
なんてイメージがあるかもですが、ご心配なく。
きちんと条件を整えさえすれば、初年度からでも65万円控除はとれます。

僕も売上がある程度ないとダメかな~って思ってたよ!

うん、その点は安心してね。
65万円控除は自力でもできる?
さて、ここが気になるところ。
すでに白色申告や青色申告10万円控除で確定申告をしたことがある人もいるかと思います。
その場合は経費と売上の集計だけの単式簿記でよかったので、「損益計算書」だけ作れたらOKでした。
ここまでなら正直自力でもなんとかなります。
65万円控除のためには、この単式簿記ではダメです。
先ほど見た条件の中にあった、複式簿記というやり方をする必要があります。
あれ?
そんなに苦い顔しなくても…
大丈夫ですよ!
複式簿記は何時間も勉強しなくてもできます。
もちろん多少の勉強は必要ですが。
複式簿記はエクセルなんかを駆使すればできないことはないです。
が、どうしてもそれなりの手間はかかります…
時間をあまりかけられない人にはエクセルは向きません。
複式簿記で青色65万円控除を目指すなら、やはり必要なのは会計ソフト。
会計ソフトへ日々の取引をきちんと入力していくと、申告に必要な貸借対照表や損益計算書といった書類をパパっとそろえることができます。
なるほど。
じゃあ初心者の自分でも会計ソフトを使えば65万円控除がとれるんだ!
…うん、それは間違いではないんですけどね。
ちょっと怖い話、会計の知識がほとんどない人でも会計ソフトを使えばそれなりの書類ができてしまいます。
しかし、たとえ書類の作成ができたとしても、それが正しいかどうかはわかりません。
私個人的には
という認識でやってます。
間違った計算や処理で書類を作ってしまうと、本来払わなくてもいい余計な税金を払うことになってしまう可能性だってありますからね。

会計ソフトってどれくらいの値段なの?

クラウドの会計ソフトならだいたい毎月1,000円くらいかな。
まずは10万円控除でもOK
65万円控除は魅力的ですが、それなりの手間もかかるのもまた事実。
確定申告が初めての人が、同時に65万円控除をとるための準備をするのはかなりの負担だと思います。
なので、開業して青色申告の届を出したら最初は10万円の控除でもいいかなと。
個人的にはそう思います。
もちろん余裕があれば早めに65万円控除のための準備を進めたいですが、本業の事業がおろそかになっては意味がありません。
10万円控除でも、一度確定申告をすればだいたいの感覚が掴めるはず。
そこから来年はどうしようかな、と考えてみるのもいいんじゃないかな。

65万円控除がいいけど…フクシキボキこわい…。
ほんとにできるのかな…

今の会計ソフトはかなり使いやすくなってるからね。
ちょっと勉強すれば大丈夫じゃないかな。
まとめ
いろいろ書いてきましたが、やっぱり65万円控除は魅力的ですよね。
会計ソフトが使えるようになる、ということは65万円控除をとるための条件をほぼクリアしたことになります。
会計ソフトを使いつつ、複式簿記について並行して調べる。
そんなやり方も大いにアリだと思います。
事業が少しずつ大きくなるにつれて、事務作業も増えてきます。
そこから会計ソフトの使い方を学ぶより、早い段階で使えるようになっておくのもひとつの手だと思いますし。
事業規模が大きくなるほど65万円控除にした方がメリットも大きくなります。
どんどん事業を大きくしていきたい人は、早めに65万円控除を狙ってみてください!
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