最近の会計ソフトは「簿記の知識は不要!」「知識ゼロでも確定申告ができます」のようなコピーで溢れていますが、本当なのでしょうか?
結論から言うと、簿記の知識は「必要」です。
なぜなら
- 入力間違いに気づく力
- 経営判断
には簿記の知識は必須になるためです。
この記事を読めば、実務で本当に必要な簿記のポイントがわかり、経理作業の不安と時間を大幅に減らせますよ。
簿記知識ゼロで会計ソフトを使う際の3つのリスク
実はですが、簿記の知識がなくても最近の会計ソフト(freee会計、マネーフォワードクラウドなど)は直感的に入力ができ、それらしい確定申告書が作成できたりします。
しかし、直感だけで操作を続けると恐ろしいことが起こります・・・
銀行の通帳残高がなぜか合わない
事業で使用している銀行の口座を会計ソフトに連携させ、実際に口座の入出金データを会計ソフトに取り込んだのだけど・・・なぜか実際の通帳残高と会計ソフト内の残高が合わない!
ここまでは簿記知識のあるなしに関わらずよくあることなのですが、簿記知識がない場合は原因の特定に非常に時間がかかってしまいます。
何が違うのか、合わせるにはどうすればいいのか、「見当をつけて修正する」という作業ができないと延々と時間を浪費してしまう事態になりかねません。
自動仕訳の罠にハマる
最近の会計ソフトは「自動仕訳でラクラク!」と謳っていますよね。
たしかに便利な機能なのですが、一歩使い方を誤ると間違った仕訳をずっと登録し続けることになってしまいます。
会計ソフトの自動仕訳機能は、
- ある程度会計ソフト側が仕訳処理の提案をしてきたり、
- 自分自身で「このお店への支払は○○の費用」のようにルールを登録
していくことで、次回以降同じ処理をすることを会計ソフトに学習させるものです。
この機能も簿記の知識なしに使うと「何が正解か」わからないままに不正確な処理を量産することにもなりかねません。
貸借対照表がぐちゃぐちゃになる
少し専門用語になってしまいますが、簿記の知識がないと「貸借対照表」がうまく作れません。
貸借対照表とは「企業(個人の場合は個人事業)の特定時点での財政状態を示す財務諸表のことです。
簡単に言うと、
- 現金や売掛金といった「資産」がいくらあって
- 買掛金や未払金といった「負債」がいくらあるのか
がわかる一覧表のようなものです。
特に個人事業主の場合、青色申告の65万円控除を使うためにはこの貸借対照表の作成が必須になりますし、その先法人成りした場合にも、会社の決算に貸借対照表は必須になります。
売上や経費といった損益に関わるものだけでは、会計処理に限界があるのです。
会計ソフトを使うために必要な「最低限必要な簿記知識」
ここまで「簿記の知識は必須!」と言ってきましたが、ポイントだけ押さえておけば難しい知識は必要ありません。
押さえておくべきポイントは以下3つです。
資産・負債・収益・費用の分類を覚える
- 事業で商品を仕入れた
- 経費を支払った
- お客様に商品を買ってもらった
これらを「取引」と言うのですが、取引は必ず
- 資産
- 負債
- 収益
- 費用
のどれかに当てはまります。
この取引は何にあたるのか、まずは大まかにでよいので自分で判断ができるようになるのが目標です。
発生主義と現金主義の違い
事業を始めて、多くの人がつまづくポイントですが、
という簿記の考え方があります。
この考え方(発生主義・現金主義)といった概念を知っておくことで、正しい仕訳を行うことができるようになります。
仕訳の右と左(借方・貸方)のルール
例えば
「現金3,000円を支払って商品を仕入れた」という取引の仕訳は
「商品を販売し、代金として現金10,000円を受け取った」という取引の仕訳は
のようになります。
同じ「現金」の科目でも、仕訳の右と左のどちらになるかで意味合いが変わってきます。
一見難しそうですが、資産・負債・収益・費用の科目とセットで学ぶと覚えやすいですし、実践として仕訳を登録していく中で感覚的に学んでいくこともできるのでご安心を。
簿記の知識があると会計ソフトでの作業が効率化・レベルアップされる
簿記知識+会計ソフトのメリットはいろいろありますが、大きく分けると次の3点です。
修正スピードの向上
簿記の知識があれば、会計ソフトの中で処理の誤りが発生した際、「どこを見れば直せるか」一瞬で見当がつきます。
会計ソフトの自動仕訳機能を鵜呑みにするのではなく、自分で都度間違いがないか考えることができるようになるため、イレギュラーな処理があった場合でも自分で対応ができるようになります。
会計ソフトの使える機能の幅が広がる
例えばですが、会計ソフトには(種類やプランにもよりますが)タグ機能といったものがあります。
タグ機能を活用することで、会計データの分析ができるようになります。
一例ですが「取引先ごとの売上と経費を集計する」というような作業も会計ソフト内でできるようになるため、これがかなり便利です。
今の会計ソフトは単に「確定申告のためのツール」ではなく、経営分析やレポート作成などの機能も備わっているため、うまく活用することで事業を成長させていくための「戦略的ツール」として使うこともできるようになります。
税理士との会話がスムーズにできるようになる
事業を続けていく中で、もし税理士を頼るタイミングが来た場合に、簿記という共通言語があることで相談の質が飛躍的に上がります。
税理士は「確定申告を代わりに行ってくれる」だけの存在ではありません。
せっかく相談する機会があるのであれば、
- この費用はどんな処理が適しているのか
- 設備投資など大きな金額の出費を控えているが適したタイミングはあるか
- 他者・他社と比べて今の自分の数字は良いのか悪いのか、どんな特徴があるのか
など、いろんな質問をぶつけてみましょう!
「経営」の戦略的な話ができるようになると、事業の成長はもちろん自分自身の経営者としてのレベルも上がりますよ!
エクセルで会計ソフトの代用はできるか?
結論、事業規模が極端に小さい場合以外はエクセルはやめておいた方がよいです。
エクセル経理で確定申告まで行っている人はいるとは思いますが、前提となるのはやはり簿記の知識です。
集計ができることと、科目の検討などの会計処理ができることは別物です。
なぜエクセルで帳簿作成は難しいのか
エクセルで取引の入力から確定申告に必要な決算書の作成まで、絶対にできなくはないですが・・・
エクセルの計算式などをかなり作りこむ必要があるのと、エラーがあった際の修正やメンテナンスの手間がかなり大変になるため、エクセルと簿記の両方の高度な知識が必要になります。
独自でエクセルを組み上げられたとしても、それが維持管理できるのは自分だけになってしまいます。
そのため将来的に税理士に依頼したり、経理の人を雇ったりするときに引継ぎや説明がうまくできないという事態になってしまう可能性があります。
会計にかかる費用を少しでも節約したいなら
もしどうしても会計ソフトにお金をかけたくないのであれば、少し機能に制限はありますが無料の会計ソフト(フリーウェイライト、やよいの白色申告オンラインなど)を使用するのも一つの手段です。
忙しい人のための簿記解説動画
個人事業主1年目で初めて簿記や確定申告に挑戦する人向けに、わかりやすく解説してくれている動画を探してみました。
最低限のポイントを動画でぎゅっと整理して教えてくれますので、さらっと見るだけでも簿記のイメージが湧きますよ。
【自分で経理】自分でやってる経営者の99%が知っている!知っておきたい会計3つの基礎知識
簿記や会計に初めて触れる人向けに、考え方や基礎知識のポイントを解説している動画です。
この経費は何費になるのか?など基本的な簿記や会計のルールが10分でサクッと理解できます。
【初心者の方に解説!】借方と貸方の入門
税理士の先生が、簿記の基本を解説している動画です。
15分という見やすい長さの中に、図解や具体例を使ってわかりやすく構成してくれているため、かなり見やすい動画となっています。
ゼロからの青色申告 65万円の青色申告特別控除を受ける場合 複式簿記で記帳・青色申告決算書、確定申告書の作成、確定申告書等作成コーナーe-taxでの電子申告、個人事業主・フリーランス
タイトルが非常に長いですが、一言でいうと「青色申告で確定申告をするための流れ」を開設している動画です。
長めの動画ですが、簿記だけでなく確定申告を行うまでの一連の流れを網羅的に解説しているので、がんばって時間を確保してでも一度は見ておきたい動画です。
まとめ
簿記は知識として知っておくべきですが、必ずしも日商簿記など資格取得を目指す必要はありません。
簿記や会計の動画を見ながら、平行して会計ソフトを触っていく方法もアリなので、自分のペースで取り組んでいってOKです!
会計ソフトは何がいいか迷ったら、こちらの記事も参考にしてみてください。
freee・マネーフォーワード・やよいを比較!どれを選べばいい?
ではでは。



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